お産の話。

その後順調に陣痛は強まっていき、山下さんの安心のもと、痛いけど柔らかなお産だと感じていた。
痛みがくるのが恐怖で、何時間かかるのかも不安で、カチコチに固まった身体や気持ちを、わたし本意のリードで導いてくれた。ほぐされる足や、抑えてくれるお尻、一定の呼吸で支えられ、乱れがちなわたしの気持ちも、自分で立て直そうと我に返る時間を持たせてくれた。
余裕だね。
と言われ、いっぱいいっぱいでしていたので首を振ったけど、後々思い出す嬉しい褒め言葉だった。

産んだ次の日は、山下さんの時に産めた喜びで産後ハイというのはこれかと、出産した喜びで天にも登るような気持ちで1日過ごした。こんなお産を1人目からできた人がいるんだろうな。1人目の人…と思わなくもないけど、これも人生経験だろう。

あともう少しのところまで来て、山下さんが早い判断で人工破水させてくれ、その勢いで出産まで繋げられた。
1人目の時のような、陣痛が弱いだのわたしが悪いような言葉は一切かけられることなく、無理な施術をされることなく、最後まで自分と赤ちゃんの力を出させてもらって、やり遂げられた気持ちだった。
最後の出る瞬間は躍動的で、破水し、ガタンと足が開き、もういきまない、いきまないと言われ、先生が会陰切開をし、出るのになかなか痛かったけど赤ちゃんが取り上げられ、1人目の時はあんまりはっきりなかった、この世に出た瞬間の泣きを聞いた。

痛かったけど、分娩台に乗ってから2時間。陣痛開始から3時間。
体の負担も少ないし、1人目の時も安産だと思っていたけど、これが安産なのか。と思った。

すぐにぺたんこになったお腹。1人目の時は結構出てたのにな。すぐ陣痛も消えた。すごいな。今から後陣痛がくるんだろうけど、今の瞬間、もう出ちゃってすごい楽。やっと出た。とにかく出さえすればいい。後はどんなことでも耐えられる。
なんて思っていた。

産後の壁はひとつひとつやってくるけど、乗り越えるしかなく、前に一度乗り越えた経験も手伝って、前よりは軽々と超えているような気もする。