日月とだんなと娘が旅行に行くので、きっと恋しくなると思って、先輩に電話できないか伝えた。電話したいしたいオバケと化しているのだ。

昨日のメガネびいきを聞いといて、と返ってきたので、指定されたところを聞いてみた。
先輩とわたしの高校の時のデートの話が採用されて読まれていた。
これで供養されたと先輩は言ったけど、mixiのブログで他の人とのエピソードはたくさん書かれていたのに、わたしとの思い出はちっとも触れられてなくて寂しい思いをしていて、わたしだってこれでその想いが供養された、と思ったのだ。

しかし記憶と違うところが多々ある。
わたし目線で思い出してみようと思う。

先輩の卒業式の後、写真を一緒に撮ってほしいと人づてで聞き、喜んだのは覚えている。先輩をずっと思っていて、とかではない。高1の時の宙ぶらりんになった気持ちが、はっきりと救われたからだ。写真をあちこちで撮った後、映画に誘ってくれた。高1の時、一緒に行けなかった。先輩に少なからず好意はあったのだな。そう思えたから言った。
「(あの時のわたしは)その言葉を待ってたんですよ。」

デートの詳細かー、先輩と覚えてるところは全然違う。
まず時間帯が思い出せない。高校生なら昼に会ったんだと思うんだけど、夕飯食べたような気がするんだよな。
映画はよく覚えてる。タイタニック。あれ一度しか見てないから、わたしが覚えてるシーンは全部先輩と見たやつのはず。過激なシーンで硬直したのも、隣の先輩の様子を盗み見たのも覚えてる。
その後感想を言い合ったのも覚えていて、会話とか、先輩の言ったとおり全然スムーズ。順調だったよね。わたしの中では、その映画の感想はファミレスみたいなとこだったと思うんだけどな。そこで夜ご飯、だと思ってたんだけど。ていうか出だしのお好み焼きが記憶にない。ていうかお好み焼き。ないわー。え〜?お好み焼きのお店なんて学校の近くにあったっけ。映画の前にお好み焼き食べる?ていうか先輩と2食食べてないと思うんだけどな。
わたしの中では、男の人と2人で夕飯を食べたのが初めてで、それで印象が残ってたんだけど、違うのかなー。
20年ぶりの再会で、ほとんど初めて聞いた先輩の告白話。記憶にないのもビックリだったけど、やっとそういえばあったような気もしてきた時に、バク転の話。先輩それは他の人と間違ってるよ、と先輩を疑ったけど、それも記憶から消えている事なのか。だいたい公園を散歩なんてしたか。最後カフェだったっけー。ていうかわたしの記憶から消えすぎですよ先輩。
バク転、バク転。先輩だいたいバク転ができたのか、その頃。

そして、告白を断った話。
断った記憶がないのだけど、たぶん、先輩との高1の時のエピソードは、映画に誘ってくれた時点で昇華された。そこがわたしのゴールだったのだ。
あの時ショックを受けていたわたしを、救ってほしかった。そして、わたし達が始まるかの前に、先輩が自分の事を好きだとは思えなかった。だから断った。
その後にもう一度好きだと言ってくれたら、その気持ちは本当だと思ったのだと思う。
だから20年経って、わたしが高3の時つき合ってた男の子を知ってたことや教育大への進路を知っててくれたこと、浪人2年目は一緒な土地へ来てくれたこと、わたしの大学まで来てくれたこと、先輩も教職を目指したこと、教職で先輩はすごくすごく頑張っていたこと、先輩がわたしと似た人と結婚したこと、離婚して地元に帰ろうと思った時、わたしに会える方法を考えてくれたこと、それらを一気に伝えられて、その気持ちが大きくて強すぎて、だから会う前のメッセージで射ぬかれてしまったのは本当。
会って一瞬で恋に落ちてしまった。

…今度の電話では、もう一度、先輩に振られた話をしたいな。
名古屋城での「会えない」は、ちゃんとした関係を築いてくれないともう「会えない」ということだったって、ちゃんと伝えたっけ。
わたしも肝心なとこ言葉が足りない。