満月だからか、井上くんに会いたい気持ちが強い。
一晩中、心の中には1人の人の姿。
試験の事を考える必要がなくなったのもあるのだろうか。
失敗したのなんてわたしだけだろうし、うまくいっていれば、この思いも弱かったのかもしれない。
実際試験当日の朝は、なぜだか井上くんが他の女の子と仲良くしてると思って、どうでもいいような気がしていた。
いくら強く思っても、会える見込みはしばらくない。そのうち薄くなっていってしまうのだろうか。けれど一月、いや、結果が出るくらいまでは持ち続けるのだろうか。

連絡手段はあるけど、正攻法じゃないから。引かれるのは嫌よね。
引かれてもいいから、それでも連絡を取りたくなる時がくるのだろうか。
どのみち正攻法ではない。

塾の人たちに、会いたいなぁ。焦らなくても、わたし、秋には会えるか、なんて。でも1日経って、やっぱり、そんな悪いこと言ってないし、悪くないような気もしてきた。秋まで、楽観的に過ごせそうだ。