失業保険の受給の再開手続きをしに、最近ハローワークに行っているせいか、昔窓口にいた男の人のことをよく思い出していた。物腰が柔らかくて、親切で、色白で、賢そうで、指が綺麗で、指にきちんと指輪をはめていて、とりわけ顔がいいわけではないけど愛嬌があって、その人に会いに行くのは楽しみだった。昔総務課で事務をしていて、人を雇ったり人が辞めたりすると、結構頻繁にハローワークに行かないといけなかった。事業者対応の窓口にいた人だった。引き継ぎをした人も、その人のことを話題にしていた。結構モテるんだと思う。

 


あの人、確か都会から来てたんじゃなかったっけ。もうこの町にはいないだろうな。こんな田舎であんなタイプには会えないよなぁ。もう一回会いたいなぁ。なんて思っていたら。

 


上の子のバレエのお迎えで入り口の前で待っていると、1人パパがやってくる。ほどなくして気づいた、その人だった。こっちに住んでたんだ。この人が旦那の人が、この町にいるのか。どんな人だろう、ってお迎えの時に見てるのかもしれない。誰だろう。誰が嫁なんだろう。なんてことが気になりつつ、目が合って会釈をしあう。向こうもチラチラと見てきて、どこかで見覚えある、ぐらい思ってくれてるんだろうか。10年ぐらい経ってるけど、まぁ、そのぐらい経ったぐらいの顔をしていた。

娘たちはなかなか出てこないので、入り口付近に集まって中をかわるがわる覗いていると、あの人の指が戸にかかって、やっぱり綺麗な手で、きちんと指輪をつけているのも変わっていなくて、ああ、やっぱりあの人だと思った。指が、色っぽいよね。

これからお迎えで会えるかなぁー。

バレエの楽しみになりそう。