今日は上の子がいなくて、下の子だけ連れて物産展へ行って、田辺さんいないかな、いたらヘラヘラしたとこ見られたらなんとなく気まずいから、なんだか自然に笑えないや。

なんて思っていたけど当たり前に全然いなくて、でもどこかにいるような、そんな近くに感じる今日だった。

帰宅しようかと提案する旦那を焚きつけて、遠出を促した。市内を抜ける大きな道で、ほら、みんなスマホ見てるけど、ポケモンってまだ流行ってるのかな、なんて旦那が言う。

何気なしにほんとだ、皆見てるねと話を合わせて視線をやると、そのうちの1人が、田辺さんのように見えた。ていうか田辺さんだった。

驚いて、まるで少女漫画の主人公にでもなったような気持ちで、遠ざかっていく田辺さんを見つめる。

会えた。今日も会えた。

でも、あなたの視界にわたしが映らないと、意味がない。あぁ、遠ざかっていく。後ろ髪引かれるなぁ。なんて思っていた。

そして間も無く、何してたんだろうと考えた。

日曜日の正午、家族ともおらず、確かにスマホの画面を見ながら、でもキョロキョロしてて、商店街をフラフラしていた。ワンショルダーの可愛いバッグ、サラッと清潔な服装をして、でも、ちょっと、父親らしくは見えなかった。

もしかして、誰かとランチでもするところだったんだろうか。女の人だろうか。でもさすがに、こんな狭い市内で、日曜の昼間に1人で出かけて、それはないかなぁなんて思うけど、なんとなく嫉妬した。見れて嬉しかったけど、結局モヤモヤしたのだった。

 


次会える機会があるのは土曜日。

その日は上の子がスタジオで長く練習するから、親の待機時間も長い。何か、素敵なことが起こったらいいのに。