試験が終わった。
二次まで来れたのが出来すぎだったのだけど、それにしても、思ってもいなかった失敗に落ち込んだ。間違ったことは言ってないと思うけど、結果浮いた感じになってしまったし、一つ答えになっていない発言をしてしまった。
面接がそこそこできたと思ったから、余計ショックが大きかった。

井上くんはできたんだろうか、時おりその考えはやってきた。ツイッターも更新しない。身の回りを整理しながら、自分のしたかったことをしながら、試験を振り返りながら、疲れた体と心を回復させて過ごしているんだろうか。

井上くんに会いたい。
だけど、もう会えないかもしれない。
試験結果かぁ。結果がダメで、秋からの塾に顔を出したら、いるのかな。
それとももういないのかな。
それまでに9月がくるから、下の子を保育園に入れることを決心しないといけない。4月から働く、しかも免除の条件を満たすような。ちょっと今日考えるのは、しんどいなぁ。

井上くんに会いたい。
あなたはそんなこと思ってないのだろうか。思ってたとしても、言いだすのは勇気よね。わたしが思ってなかったら、大恥だもんね。そんなリスク、冒せるような大したわたしじゃない。
でも、思ってほしい。あなたにもっと必要だと思われたかった。

買い物の失敗が続く。
ピアノの本がメルカリであったのに新品で買ったあたりから。
クリアティーポットもサンドでパンダも高くついたし、ナイトブラも焦って買ったら昨日から楽天セールが始まって30%オフだそうだ。
一昨日焦って買った本が昨日届かなくて、実家に届いていてアマゾンの住所録を速攻消した。
なんだろう、こうなるから買い物は慎重にしてるのに、えいっと思い切った時に限って失敗する。
試験が終わったら、身の回りを整頓していきたい。

日本語練習帳を読んでいる。
パラパラと読むには手ごたえがありすぎて、深く読み込むのは試験が終わってからだけど、心をうった部分があった。

言葉は表現行為の一つである。

言葉を使うときは、いつも相手と関わりたいという心をもつとき。相手が自分について、また自分の思うことについて分かっていないところがあるのを、分かってもらいたいと相手に求め、相手の注意を引き、相手の知らない事柄を知らせる。

心には一人の人しか浮かばない。というのも美しい言葉だった。

井上くんが質問の返しではなくて、一次でいっぱいいっぱいだったことや、自己採点してないことを教えてくれたことを、誰に対しても言ったのかもしれないけど、嬉しく思っていた。なぜだか心に残っていた。井上くんは、わたしに知ってほしいと思って話してくれていたのかもしれない。わたしはあの時、質問してばかりでわたしのことで聞いてほしいことなんて口に出してなかった。わたしには気持ちがなかったのだろうか?いや、あるけど口に出せないようなことばかりだからだ。口に出せるとすれば、あなたと話すのは気持ちがいい、できればもっと話していたい、許される形が昨日で終わってしまい、寂しく思っている。ということ。

運命に身を任せるしか方法がない。
自分の進むべき道に向かっていれば、あなたとまた一緒になるときがくる。わたしが受かればあなたも受かるし、わたしが落ちればあなたも落ちるような気がする。
塾でまた近いうちに会えるのかもしれない。どこかの学校で、一緒になるかもしれない。その日を待っているけれど、今日は少し涙が出やすい。
わたしは、そんな立場ではないんだもの。井上くんがもし、もし少しでも好意を持ってくれていたとしても、井上くんにも考えはあるだろう。その考えというのを聞いてみたいけれど、それはその人のものなんだろう。
伝えてくれた言葉があれだった。
もし、もう少し話す時間があれば、違う言葉もくれたのかな。
結果発表はわたしの誕生日あたり。
そこの握手会に参加できたら、また会えるのかな。

試験に集中しなければと思いつつ、井上くんの姿をずっと探してしまって、トイレにでも向かおうかという時、隣の隣の教室ぐらいにいた。
なんだか大きい男の人と話していたみたいだけど、わたしがそれとわかった時に、ひょこっと井上くんの頭が動いた気がした。お互い顔を見れる距離になって、こんにちは、と言いあった。いつも積極的に挨拶してくれるのは、なんだろう、主義なのかな。知ってる人は自分から、とか。それだけで嬉しくなって、にこやかに挨拶するだけでいっぱいいっぱいになっちゃった。
トイレが混んでいたのを理由に井上くんと話せるかとすぐ戻ったけど、照れてしまって通り過ぎるだけだった。

試験終わりに帰っていく井上くんと目が合ったけど、特にリアクションもされず、大きな男の人とずっと話していた。それが後々寂しくて、最後の姿になるかもしれないのにと思い返していた。その程度。わたしが他の塾の人をそれ以上と思わないように、その程度の存在でしかなかったのかな。
外に出ても、もう姿はなかった。

村上さんと仲良くなれた。
この人とももう塾でも会えないかもしれないのに、ちゃんと連絡先聞けばよかった。女の子にそんなこと思うのも久しぶりだった。最初印象悪かったのにな。帰りがけ、好意に甘えればよかった。あなたがいたから試験寂しくなかったよ。また会いたい。

塾ロスとかするのかな。
試験勉強も試験も楽しかった。
最大の山場はこれからだけど。

朝、いつもより5分ほど早く着いて、周りに車がないなと思いつつ入り口に向かうと、向こうから井上くんがやってきた。

タイミングばっちりで、並んで入り口まで向かう。この辺で幸福度MAX。面接いつですか、と向こうから聞いてくれ、7日です、いつですかと聞くと、6日なんですぐ終わるんです、と返してくれた。入り口を開けて中に入れてくれた。井上くんにエスコート。いつもならガチガチだったろうけど、今日は面接で気持ちを作っていたので平常心さ。入り口を閉めてくれた井上くんを振り返って、話しかける余裕。話題にと思っていた、面接、自信ありますか、と聞いてみた。そしたら今日が今週初めてなんですよね、というので驚いた。ちょっと開いちゃって、と。そっかぁ、すれ違いかと思ってたら来てなかったのかぁ。二次より一次で大変で、というので、あぁ、わたしもだめだと思っていた、というと、自己採点もしてないんですよね、と教えてくれた。じゃあ、もうあえて知らないで臨むんですか、と聞くと、そうみたいだった。3階の通路をもう会話なく進むと、教室のドアをまた開けてくれた。さっきからすいません、と言って中に入る。そこで言うおはようございますの優越感。なんだろう、達成感。もう顔がほわ〜ってなってたと思うね。
その後しばらく、文字が頭に入ってこない。やっぱり勉強には支障が出る。しかしそれ以上に得るものがある。とか思う。声が素敵。色っぽすぎる。

討論の班はやっぱり外れて、面接までの数十分を教室で過ごす。なんだか少し大胆になって、目が合いたいと思う。遠慮のない盗み見。足首とか、足とか。二の腕とか。うなじとか。振り返ったりすると、じっと見たけど目はあんまり合わなかった。全然進まない勉強。
帰りがけ、目を見たけどそこでも合わなかったな。なんだろう、不躾すぎたのかな。だって、目を見たいんだもの。

明日会えるかな。また話したいな。
午後の勉強会は来るのかな。
面接日は違うから、会えるとしたら明日が最後だな。やっとちょっと話せたのに。もう少し一緒にいたいというのは、一方的な思いなのかな。
あなたのこと好きだな。

今朝車があったから、ウキウキと教室に向かったけど結局来なかった。
隣のホールであった研修に参加していたようだった。担任教師対象の研修ということだったけど、担任してたんだろうか。だとしたら、淡々としてて全然そんな感じじゃなかったからすごいな。帰りも車を見つめて帰ったけど、ミニオンズのぬいぐるみが置いてあって、女の子かなあ、と思ったりした。
もうストーカーだなこれ。

明日で二次対策の塾はわたしは最後。あの人はどうかな。試験、7日なのかな。試験で会えるかもしれないけど、結局、塾の間には仲良くなれなかったなぁと思う。最初は運命だと盛り上がったけど、これきりになるかもしれない。

寂しい。
自分のするべきことに真っ直ぐ向かっていれば、きっとまた会える、だろうか。あなたのことを好きになってよかった。元気になったし強くなったと思う。夢も見れた。

二次試験がんばるよ。
がんばった先に、あなたがいるように。

今日は塾の中休み。
前髪を切りに出たついでに、土曜までの食料を買い込む。
8日が満月。井上くんへの思いがなんだか野蛮になっているというか、強まっているのはきっとこのせいだ。
アドレスがたぶん見当がついた。
思ってたのと違ってた。名前っぽいのが入ってるやつではなく、たぶん普通にスマホのアドレスだ。わたしぐらいしか、アドレスが50音順に並んでるとか、井上くんの下の名前とか、知ってないんじゃないだろうか。

明日はいるだろうか。
とにかく明後日には会えるけど、明日会えたらもっといいもの。試験の日だって、会いたいのだ。

明日の塾の後は、ポカリやカロリーメイトを買って切符を買いにいこう。