読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

入院8日目。
昨日悲しい気持ちで眠りについたのとは裏腹に、奥平くんの夢を見て この上ない幸せな気持ちで目が覚める。
この気持ちを、もう汚してはいけないな、という気もした。
好きだったなぁ。できれば会ってみたいけど、その縁はわたしに巡ってこなかった。
連絡先を知ったら、気持ちだけ伝えられればと思っていたけど、やっぱり会ってみたい。

昨晩はたぶん0時頃何かが起こり、2時半にも何かが起こり、予想済みの3時頃 例の危ない看護婦が懐中電灯を持って換えなくてもいい点滴を換えに来、その後うんざりして眠りについた後だった。目を覚まし、寝直してもまた奥平くんの夢。見るごとに深まる仲。わたしとしか通じない会話をしてくれたとか、わたしの食べていたお菓子を食べてくれたとか、ささいなことなのに、今の大人になってからの喜びよりずっとずっと嬉しいことだった。

わたしが本当にやり直したいと思っているのは、中学生。
1年の時、前出くんに好かれないようにして、吉田憂花とは絶対に関わらないようにして、奥平くんと仲良くなって、卒業までに奥平くんに告白する。
それでダメでも高校受験だってテストをひとつだけわざと間違えて奥平くんと一緒な学校に入れる努力をして、高校一緒になってからでも、別々になってからでも何度でも奥平くんにトライしてみるのだ。

そういう思いと、一緒なんだと思った。
わたしみたいな人がいた。
その気持ちに応えてあげたい。
その気持ちが嬉しい。
その気持ちが欲しい。
産後の激しい衝動と相まって、轟々と過ぎていった約2年。
妊娠したことによって、その波がおさまったのかもしれない。

奥平くんの夢は、わたしの頭の中が元に戻っていることを象徴しているのかもしれない。