入院してから、初めて日記をさぼった日の夜に陣痛がきた。

陣痛は夜中にくると信じて疑わなかったわたし。
その日は月曜日、カインとアベルを娘と観て、10時20分ぐらいに娘が寝ついた。
編み物を早く仕上げたかったので、しばらくソファーで編んでいるが、今晩はお腹の上部がチクチク痛い。右側が痛くて、左側も痛くなってきた。その日は胸やけもあった。
お腹が痛いのは連日のことだったし、胸やけがあるので赤ちゃんはまだ上の方。それにしても編み物を続けられないぐらいしんどくなってきて、ここ数日の長い座り姿勢でむくみもあったから、早々に切り上げて寝る準備をすることにした。
一応家の中全体をチェックして、心残りの少ないようにし、日記を書いて寝ようと思ったがしんどかったので今晩は諦めて明かりを消した。12時前後だったと思う。

確か寝ついてはなかった。
12時半頃、前駆陣痛みたいなものを感じたので、間隔判定アプリで計ってみる。10分ぐらいだったけど、それも毎晩のこと。何度か計ると、だんだん短く強めになっていくような気がする。でもそれも毎晩のこと。
しばらく様子を見るが、間もなくちょっと怪しいな、と思って だんなを起こそうか迷う。
迷いながら、家の中をチェックして回り、より片づけたいものを簡単にまとめる。その間に、より強めになっていく陣痛。行けるうちに行こうと、2階にだんなを起こしに行くことにする。
ちょっとビックリして起きただんな、身じたくを整える。わたしは産院に電話。電話する頃には、もう少し陣痛が重くなっていて、少し確信を持って話し、病院に行くことになる。
だんなが娘を抱っこし、玄関を出る頃には、陣痛がくるとしゃがみこまなくてはいけない程になっていた。
外は雨が降っていた。夜中の1時過ぎ。すぐ近くの病院だけど、車をとばすだんな。速いのが怖いので、大丈夫だからとスピードをおとしてもらう。

病院に着くと、看護婦さん達が出迎えてくれる。電話で もしかしてと思った、一番望んでいた助産師さんだった。
陣痛がくると動けなくなっている状態を見て、分娩室にすぐ通される。すっかり安心するわたし。
トイレに行かせてもらうと、鮮血が出始めていた。家のトイレでおしるし程度が混じったおりものを確認していたので、パットを当ててきていた。
もう産褥ショーツも必要ないかな。
と言われ着替えて、分娩台に乗る。
あ〜いい感じ。7cmやね。
ほんと いいタイミングで来たね。
分娩台で陣痛を感じながら、モニターをつけたりシートの準備なんかをしていたら、すっかり本格的な陣痛がきていた。

安心と不安はお産にとても影響する。
この日に陣痛がきたのは、ほんの数日前の母親との和解だと思う。安心すると、お産は進むのだ。長く陣痛が来なかったのは、お産に対する不安が長引かせていたのだと思う。
お産の途中、安心していたわたしだけど その助産師さんが少しの間でもどこかに行こうとすると、とたんに陣痛が重くなった。不安が、こんなにも全身に影響する。女の人というのは、そういう、気持ちと身体が繋がっているという経験を男の人より多くするから、繊細で優しいのだと思う。