朝のトイレを済ませて職員室に入ると、高橋先生が電話をしている。目は全然合わない。けれど予想通り、髪を切っている。

かっこいいじゃないか。僅かにハートが疼く。

わたしの反応しなくなった心臓が、何年ぶりかに、ときめこうとしている。

 


いい。高橋先生にしかできない髪型だ。

あんまり知らないけど、進撃の巨人、みたいな。

 


相変わらず全然すれ違うこともなく、3時間目が始まり、ああ、高橋先生の顔が見たいな、と心の声を最大にして言ったところで、男の人の声で、◯◯先生、と呼ばれる。振り向くとそこには高橋先生、わたし、サトラレだったのかしらと一瞬疑う。

ちょっといいですか、と呼ばれ、呼んで欲しいくせに、何でしょう、なんて勿体つけて出て行って、先生と話すわたし。

プールのことを色々教えてくれて、なんだろう、この高橋先生じゃなくてもいいのに先生に詳しい話を聞く感じ、前にもあったぞ。わたしのせいなのか、先生のせいなのか?

 


その後は必然的にテンションが上がり、ウッキウキと仕事をするわたし。

 


給食の時間、今度は先生が人の給食を持って入ってくる。そのいきさつはいいんだけど、給食を結局下げに来た先生を、ああ、言ってくれたら持っていったのにな、という目で見ていたら、目でなんですかみたいなこと言われて、いや、給食、どうするのかと思ってて、とか何とか適当にしゃべってて、結局先生を見て話したかったみたいな結論を出して、今日はこれで終わりだったか、とにかく舞い上がって帰りスポーツショップで8000円カード切るぐらいの戸惑いはあった。

 


あんまり目を見てくれないんだけど。

明日は今日ほどいい日ではないんだろうなぁー。

今朝は高橋先生の夢を見て、きゃん、今日イチのニュースだわなんて思って過ごすと思いきや、怒涛の1日となる。

 


先生の夢は、先生がわたしの為に何かをしてくれる夢だった。非常に光栄だった。

 


今日はわたしの地元へ行き、遅れた父の日のお祝いランチをする予定だった。旦那は先に行って用事を済ませるので、わたしは子ども2人を連れてのスタート。

下の子8度5分の発熱、本当に仕方なく解熱剤を飲ませて、車に乗せる。

なんとか高速に乗ったら、警察に止められる。上の子のシートベルト、肩を外していただけだったのでギリギリセーフ。わたしの膝の上のスマホもよくない。

 


無事合流、ランチ。美味しい。

自分の買い物欲やら何やらはあまり満たされず、無理やり行った旦那とお出かけも、下の子のあまりの高熱で一瞬で呼び戻される。

時間や体力が無駄に削られながら、イリイリしながら、車の中で旦那の体臭に本気でえづきそうになりながら、生活に嫌気がさすけど高橋先生のことを考えて爽やかさを保ちながら、命からがら帰ってきて、帰ってからもしんどいしかなくて、でも勉強までちゃんとやれたのは昼間のステーキのお陰だとか思って、今日を終了するのだ。

 


明日からもきっとしんどいしかない1週間、先生の為に頑張る〜。

土曜日は授業参観だって週始めは意識していたのに、金曜日疲れ果てて家事も何もかも放り出して目が覚めるまで寝てやろうと布団に倒れこんで、その時にはすっかり頭から抜けていた。

なんとかなったが、このところダメダメだ。

 


昨日はゆっくり寝たはずなのに、昼間ものすごく眠い。天気が悪いからか、それとも、最近世の中が不穏な空気なのは令和が悪いのか。

 


今朝は先輩の夢を見て、軽く落ち込んでいたところだった。それでも考えるのは高橋先生のことだ、なんて思って枕を抱きしめていたら、旦那に今日学校じゃないのと起こされた。

 


先生のことでうまく眠れない。

先生もそうだったらいいのに、といつも思ってしまう。

目を閉じて先生の姿を浮かべる。

実際見るとそう壮大なことは思い浮かばないのに、学校を離れると、わたしの心を支配しているのは高橋先生だと思う。

全然タイプじゃないのになぁ。

でも、先生が持つ危うさが、先生の整った顔を、引き立てている。

 


他の女の人も、そう感じているのかもしれない。そのような視線を向けている女の人は多い。そうやって、いろんな女の人に気を持たせているのかもしれない。わたしもそう、期待してしまうような日もあれば、地に落とされる日もある。他の人もそんな日々が続いているのかもしれない。

 


その代表がチロルチョコだ。

きっとわたしだけじゃないのに、特別な気がしてしまう。わたし以外にあのメモを置いているところは見たくない。

 


先生とセックスがしてみたい、と思った。

あんまり思わないようにしてたけど、今日は、性的に先生のことを考えた。

一度だけでいいから、とも思った。

きっと結局一度だけでいいなんて思わないのに、無責任にそんなことを思う。

先生にキスされたい。わたしのことを性的な目で見てほしい。

こないだから生理前や満月やいろんなことを乗り越えてるのに、もうそんなの全然関係ないみたい。

なんだか変わった1日だったなぁ。

担任の先生はいつもいないし、子ども達は1人に限らず荒れるし、高橋先生が、教室のデスクで気を抜いていた。

無防備な姿がかっこいいと思ったが、そのすぐ後に近くで子どもが大声を出しているのに、今日は助けに来てくれなかった。3回程叫んだのに、そこにいるのに、全然来てくれなかった。それでちょっと、へこんでいる。

 


カフェでおばさんに絡まれる。

昨晩も4時に目が覚めて先生の事を考え続け、眠くてたまらない。

先生のだれているのもそうだったらいいのに、婦警の対応などで疲れていたのだろうか。

あなたのことはやっぱり考えてあげない。

今日はあざとく髪を結んでいく。

 


近くを頻繁にウロウロするのに、全っ然、見かけることなく午前中が過ぎていくので、今日はいないんじゃないか、予定を何回も確認しに行こうとしているうち、4時間目の始めぐらいにやっと顔を見れた。

 


先生は教室から子どもを連れていくところで、わたしの顔を、珍しくまじまじと見た気がした。

髪に気づいてくれたかな?と思いつつ、すれ違う。

 


昼休み、職員室に戻ってきてくれないかなぁなんて思いながら時間を潰していると、本当に来てくれた。わたしはマスクを外していて、なんだか、見つめ合ってしまって、照れ隠しで、お茶を飲んだ。先生はちゃんと理由があったんだろうか。無いように思えた。

 


児童玄関から見える先生の後ろ姿を見納めて、職員室で帰る準備をしていると、先生が入ってきた。帰る前にまた見れた、よかったと思っていると、わたしの後ろに回ってきて、電話をかけるようだった。ちらっとその後ろ姿を見ると、先生の襟足が見えて、男らしいというか、襟足に男性を感じて素敵だった。満足して挨拶をして職員室を出て、職員玄関で待っている兄弟を見てたら先生が慌てて職員室から出てきて、電話、繋がらなかったとその子たちに言っている。さよなら、と先生に挨拶できて、先生も返してくれて、急いだのは、わたしを見送りたかったからだったらいいのに、と玄関を後ろ髪引かれながら後にした。

珍しいアップは先生に好評だったように感じた。

 

今日は先生がほとんどいなくて、つまらない日だった。

 


学校もわたしがいる限りは落ち着いていて、することが少ないうえに、寝不足ですぐ眠くなってしまって、あまり多くのことができない1日だった。

 


先生の噂を聞いていて、今年度での異動はないみたいで、他にも色んな情報がたくさん入ってきて、それでまた冷めたような、フラットな気持ちで眠りにつこうとしている。

 


今週は早い。

連日の寝不足で体がもたない、先生はそんな夜はなかったのだろうか。

今日はもう寝よう。

今日は先生をたくさん見れた日だった。

体力テストがあって、先生が補助で回ってたクラスを、わたしが補助していたクラスが追いかけていたからずっと姿が見れた。

ボール投げの時は話しかけてもらっちゃった。わたしの声が潰れていることに、ちょっと戸惑っているようにも見えたけど。ちょっとでも気にかけてくれてたら嬉しい。

昨日のお片づけスルーがあったから、丁寧に声をかけてもらったのかもしれない。

 


伸びしながら盗み見してたら目が合っちゃったし、現職教育の帰り、校門を出るところで先生が帰ってきて、目が合った。

今日はよく目が合ったので幸せ。図書室でも、見てくれたな。