33w4d。

34週まであと3日。

入院して10日が経った。

 


昨日は部屋を変わって、熱を出した方の人が、結構夜遅くまで物音をたてる人で、扉をバンと閉めたり何かを開けたり、夜中になってからやるなよ、と少しイライラした。どんな顔してるんだろ、とか思う。

 


8月は満月が2回あって、2日と31日にあるから、今日は新月に近いのだ。そのせいもあると思うし、この入院中読んだ宮下奈都さんの本で、自分に興味をなくしていく恋人にこちらから見切りをつける話にも影響されたかもしれない。宮下さんのそういう話はとても身につまされて、ふたつのしるしだったかな、不倫関係の上司とだったか、それも自分に興味をなくしていく様を、偶然休日出勤で見た彼の姿に、まざまざと知ってしまう、あのシーンはとても印象的だった。女性視点といえばそれまでなのかもしれないけど、休日、好きな人がいる会社に来たら、好きな人が来ていないか、机の方を一度くらい見てしまうものだろうと。それが一瞥もせず、わたしが机から背中を見つめている間、目の前で自分の用事だけを済ませて出ていってしまった。それを見て、自分への興味を無くしたことを知ってしまった。

男の人の方には、いろいろ言い訳があるのかもしれない。でも、わたしにもそれが全てだと感じてしまった。

 


興味の薄れは、もしかしたら毎日感じていた。

毎日がっかりしていた。

それでもわたしには可愛い娘がいて、日々の生活に追われていたし、よりいい暮らしをしたかったし、お腹の子も順調だった。幸せだと思わなければいけなかった。

旦那が仕事を無くしても、わたしへの興味のなさは変わらなかった。わたしはそれが復活することを期待していたんだと思う。ゼロになれば、わたしに向き合ってくれると思った。しかしかえって酷くなったような気がした。

わたしに向かない興味が、他に向いていると思った。同級生か、いとこか、妹か、仕事か、そのつき合いか、心配事か、子どもか、猫か、いずれにせよ、どの項目よりわたしは低いのだと思った。お腹の子ごと、そうなのだと思った。

ひっそりと家事をがんばるにしてみたり、ひっそりと美容に心がけたり、励ましの声かけをするなり、これかこれかと試すような行動は、それと知ってほっておかれたような気がする。

 


今までのわたしの行動が悪かったのか、と思うけど、あの時もっと助けてほしかった、裏切りのように感じてるのかもしれない。でも妊娠で体調が振るわない中、学校勤務もままならず、せめて日々を回すので精一杯だったわたしはいけなかったのだろうか。今は随分お気楽に見えていたのだろうか。

 


ずっと1人で暮らしたかったのかな、と思う。

独身に戻りたかっただろうか。

それが叶って、清々してるところなのだろうか。

今はいらないかどうか試されているのだろうか。

結果いらなかったのだろうか。

そんなことを決断できてしまう背景には、本当に誰もいないのだろうか。

 


お弁当を食べる時に、宮本くんが隣にシートを敷いてくれたのを思い出した。

あれは嬉しかったなぁ。

今日は涙もろいなぁ。

 


退院の日が決まった。

予想通りの、35週になったところ。

どのぐらい確定なものかわからないけど、あと10日。

聞いた時は嬉しかったけど、なんだか今日も元気が出ない。最近午前中は寝てばかり。スマホを見ても、なんだか目が疲れて長く見れない。

 


午後になって、少しだけ落ち着いた。

昨晩からグズグズしていた。

昼寝も思い切ってした。うとうとと、雲が多い晴れた空を見て、本を読んで。

 


奈都さんの本に出てきた、入院患者の10日目の話。入院して10日経つと、その人の本性が出るという。我が儘だったり、愚痴だったり…っていう話が、わたしはメソメソだった。マタニティブルーなのか、新月なのか、それか、こういう入院みたいな留まる機会で、自然とそれまでの振り返りをして、その時その時に引っかかっていたことを流すような作業によって、初めて自分の中で蓄積していた血栓みたいなものがドロっと流れているのかもしれない。