発表の日からアドレナリンが出ていてうまく休めていない。

土曜の塾。
駐車場に着くと、井上くんの車が置いてある。出がけに娘に悲しい思いをさせてしまって、後ろ髪引かれる思いで出てきて、でも遅刻気味で焦っていてそれを見て、やっぱりウキウキした気持ちで教室に向かった。

合格者は多く、井上くんの近くの席は埋まっているので横並びの席をとる。
集団討論のグループは外れて、顔を見れないのは残念だけど、集中できるのでほっとしたりする。いると、どうもテンパってくる。

練習が終わり、少しリラックスモードで試験日までの予定を組むなか、目が合った。わたしが見てるからか、井上くんも目をそらさない。他の人も見なきゃ不自然なのに、真っ直ぐな視線、明るめの茶色い瞳がきれいで目をそらせなかった。
今朝までずっとその視線を思い出し、また早く目が覚めてしまった。
恋にもなっていないつもりだけど、井上くん次第だな。あなたのことなんてきっとすぐ好きになってしまう。

明後日は塾。井上くんはいるんだったっけ。あんまりしっかり把握しなかった。わたしが来る日はもう決まってたから。3日はいなかったから、会えるとして、あと1日。それもいなかったかもしれない。次は試験日。面接も被ってないと思う。会える機会は、二次に進んでも、結局あるようなないような。29日に集まれる、というのが大きかったのだ。そしてもし、合格したら、塾生としてきっと再会する機会がある。そして初任者研修で一緒になる。
井上くんはきっと受かる。
わたしだって、もう受かるしかなくなったのだ。全力で、合格を勝ち取りに行かないといけない。

ひとつ気持ちの整理をつけたい。
落ちた人が何人かいて、思うところもある。しかし発表の日に、井上くんと長いこと話していた女の人にヤキモチをやき、次の日その人が落ちたことを知って、どうしてもよかったと思ってしまう自分がいる。その人自体は嫌いな感じじゃないのに、集団討論で何か違和感があって否定してしまったり、面接前の緊張感のない感じがあまり好感を持てなかったり、それがヤキモチに拍車がかかり、落ちたことに対して否定の気持ちが湧いたりする。
だいたいが、ほんとに、ヤキモチなのだと思う。もう話せないもんね、といういやらしい気持ちが湧いてくる。
このことに限らず、今まできっと蓋をしてきたようなことが、ポジティブめにわーっと湧き出してきている。いいことも、思いたくないことも。
他人を蹴落とすような気持ち。自分と考えの違うものを排除するような気持ち。自分が正しいと強く思い過ぎる気持ち。
わたしはちゃんと、どのような教師像を持っているかを磨きをかけて、それを熱意を持って真摯に伝えるだけなのだ。