日一日と変わるこのご時世だもの、仕方ないけど、先生のグループが変わっちゃった。

残された今日一日も、昼から予定が変更になり、先生の学年に入る予定が他の学年に入ることになってしまった。2年生の先生め、邪魔してきやがる。あの支援員の先生も苦手なんだよな。要は、新しい人は邪魔に感じることがあるということだ。

でもグループ変更を、偶然にも聞けてよかった。それもまた縁かもしれない。

 


今日は高橋先生はいないはずなのに、朝からいた。ほんとは休日なのか、かわいい格好をしていた。リュックをかついで帰ってしまいそうな出立をして、結局ずっといた。わたしが帰る頃なんてスーツになっていた。昼ご飯を温めようとすると、わたしのお味噌汁に若干反応して手を洗いうがいをして、カップラーメンか何かにお湯を入れて出ていった。特に話はしない。だけど今日の高橋先生はちょっと格好よくて、ほんとはいない日なのにいるのがわたしの為なような気がしてしまって、思わずハンカチもスヌーピーにしてしまった。

 


そんなことはあったのだけど、今日は体育館に行く前に向こうは図書館からバトンタッチするところで、それに気づいたわたしはがっちりとスタンバイしていて、宮本くんはこちらに向かってきてくれて、1年生に挨拶していった。その時に、わざわざ話しかけてくれた。今日も午後お願いします、と言ってくれたのを、語尾がはっきり聞きとれなかったから、ほんとは見当ついてたけどえ、と聞き返して、もう一度言わせて、それがコミュニケーションの最後になるかもしれないから、職員室ですることあるんですか、わたし行っていいんですかって言っちゃって、でも僕も最初パソコン室行きます。って言ってくれた。僕も行くってフレーズが嬉しいものの、今ここで言わなくても、って雰囲気が若干あったけど、予定はわからないから、と思っていた。

 


だから教頭先生に予定変更を言われた時、ちょうど宮本くんにも教頭先生は話しかけて、あーあ、だからあの時言っておいたんだ、っていう気持ちを視線にも乗せてみた。教頭先生と宮本くんの顔を見比べながら、いつもすぐうまくいかなくなることにおかしくなってしまって、だからヘラヘラしたり、宮本くんを意味深に見たりした。きっと違和感のあったその視線を、宮本くんはわたしが楽な方に入りたがってると深読みしたかもしれないけど、それは否定した。大人しく2年生に入ろうとしてたんだけどな。教頭先生になかなか伝わらなかったのは、わたしの煮え切らない態度が悪かったのか。

 


児童玄関で、今日は宮本くんが付き添いだと思っていた。激しく雷が鳴った後で、雨が降っていた。大きな傘を指した宮本くんは、なかなか出て行かなくて、わたしはわたしで行って欲しくないなと思って見ていた。会えなくなるの寂しいから。たぶんしばらく会えないから。こちらを見る宮本くんを、真っ直ぐ見た。宮本くんもわたしを見た。早く出なくちゃ、という雰囲気になるのを、視線で止めようと思うぐらい、目に気持ちを込めた。玄関を出ていった宮本くんは、こちらを見ているような気がした。そばにあの子がいたからわからないけど、わたしは彼を見ていたし、彼も、見ていてくれた気がする。それはもう、アイドルのコンサートのレベルだな。