抗ったり耐えたりしながら、ゴールデンウィーク

 


今朝、田辺さんといちゃいちゃする夢を見て、しばらく田辺さんモードになり、でも最後に会える可能性があったバレエの発表会は結局忘れてしまった。手土産を持って最後の挨拶に行くつもりだったのに。また抜けてしまった。

そんなことしたって、ていうのはあったのかもしれない。GWを潰しているだろう家庭の集まりに、足が向かなかったのもあるのかもしれない。はっきり時間がわからなかったのもある。それを誰かれに聞きまわる気も起こらなかったのかもしれない。

でも田辺さん。どこかで会えるチャンスはもうないのかなぁ。朝は、連絡先を聞く妄想までしたのに。連絡先を聞けば、仲良くしてもらえるかもと思っていた。

 


意図せぬ気持ち悪い思い出ができてしまい、なかなか消えない不快なところへ、ツイッターでコンテくんという人のエッセイ漫画を見て、少し解消されるような感覚があった。

こんな嫌なことされちゃったぜ、と誇らしげにも見えるそれ、不快な思いよりこんなことをこんなふうに切り抜けたぜみたいなのが、スマートだと感じたのかもしれない。そしてその奥に本当は潜んでいる、そういう人たちを蔑む気持ちを、この人も持っているのだと思いたくて、その片鱗を見つけようとしているのだと思う。そういう人たちに寄り添わずにはいられない、被害を受けてしまったばっかりに、敵の意図を知りたい気持ち、相手の懐に入ろうとしてしまうところ、そして入ってしまったことでさらに受ける被害にまで、理解を示そうとしてしまう、優しさと一言で表現する人は多いだろうけど、純粋なそれではない、やはり自分なりの防衛なのだということを、爽やかに努めているタッチの中に見出してしまう。

 


わたしなりに疑問がたぶんいくつかあって。

そもそも校長に本当に好意を持たれていたのか。

宮本くんみたいに、校庭で見とれられてたことがあったり、こちらもあれっ、もしかしてそうなのかな、みたいなのがあったら、自分の中に落としこめたんだろうけど、そういうのが無い。

一番可能性があるのは、わたしが何かしらの好意を示してしまい、勘違いさせたのだと思っている。しかしわたしは不用意に勘違いさせるタイプではない。勘違いしてもらっても差し支えない人を選んでいるはずだ。なぜ支援員をしているのだ、と尋ねられたあたりは、不快感はなかった。やたら目が合うな、ていうかわたしから見てないぜ、そっちが見てるんだぜみたいなのが続いた時はあった。校長も思い込みが激しそうなので、目が合う=気が合うみたいな情報を鵜呑みにして、わたしが気があるんだと思ってしまったのだろうか。わたしが教採に乗り気になったこととか、それは負けん気から起こった衝動だったのだけど、自分の期待にこたえようとしてると思ったのかもしれない。送別の時にもらった寄せ書きにも、「一緒に目指した分野の…」というフレーズがあり、一緒に目指した覚えがないわたしはそれも少し押しつけがましく不快に感じていたのだ。

 


わたしも、あれっ、わたしも自分の気持ちに気づいてないだけかぁー⁉︎ なんて振り返ってみたりしたけど、やはり基本不快感しかなく、兄による歪みみたいなのを考慮したとしても、同意なしに触れようとしてくる人間には嫌悪があり、きっとその人となりをよく理解した上での完全拒否の準備をしているのだ。

 


そんな危害を加えた人と自分を振り返っていると、宮本くんは不快だったのだろうか、と自分にブーメランが返ってくる。宮本くんの反応がわたしと重なるたび、わたしは心を痛める。むしろ痛めたくないので、思い通りにならない宮本くんを嫌う。

 


お互い次のステージで、と冷たく切り離した宮本くんが本音である。

 


わたしがすべき行動がまだ残っているのかもしれない。教採で頼ろうと思っている校長と、縁を切る必要があるのかもしれない。その断り方が意外と重要なのかもしれない。

一応上司だし悪くてやんわり拒否を続けているけど、どういう言い方をしても、なんだか可能性を残してるみたいな言い方だな、と自分でも思っていた。だって、気持ち悪い!触るな!まじでありえんし、みたいなのが本音なんだけど、そんなこと本人に言えないじゃないですか。それに、わからないことで頼っている部分は本当にあったのだと思う。普通の人は言わないだろうわたしの本当の姿、みたいなのにも興味があった。そんなものは存在しない、と思おう。少なくとも、嫌なことを無理強いをするような人間が見たわたしなんて、知らなくていいや。

可能性を残さないように、他に面接の練習をするアテができたと断ろうか。好意の云々とか言わずして、もう会う必要がないと表現できればいいのかな。それも、宮本くんと会える可能性があるから、前の学校と縁を切りきれないわたしの弱みにつけ込まれているのかもしれない。

 


もう宮本くんと会っても、どうにもならないし。

会ってしたいと思ってたことはこの前できちゃったし。

さよならと思っていて、またどこかで会えたらそれはそれですごいし。

宮本くんはきっともう会わないつもりだし。

興味があった時はあったのかもしれないけど、もう興味はなくなったんだろう。

わたしも夢で、自分の気持ちはいい加減なものであることを知れるし。

ターニングポイントみたいな嵐は少し収まってきたし。

今はもう、モラトリアムじゃないから。

相変わらずぬるい生活は続いてるんだけど、何かを引き伸ばしたい猶予期間ではない。

今はひたすら現実である。

できることを、できる限り。できる範囲で。