今日は会えてしまった。お話もできた。

9日ぶりぐらいだから、夏休みの小休止。

少しだけ宮本くんを補給した。

 


駐車場には車がなかった。

今日もお休みだったか、と今日の課題に素直に向き合う決心をする。

校長室から出ると、職員室に宮本くんが見えた。

わぁ、と思って荷物をトイレの前に置き、そろそろと中に入る。横を通り過ぎても、前に座っても、全然リアクションがない。少しがっかりしながら、隣の先生が反応してくれたので挨拶をし、わたしの机の上に乗せた自分の荷物をどかそうとする仕草をするので、あ、すぐに出るので大丈夫です、と言った。

校内研究のプリントを持ち帰りたかったので探していると、ピンポンが鳴って宮本くんが出ていったり、また戻ってきたりした。戻ってきても全然目が合わないなぁと思って探し物を続けていると、ふいにわたしの机の方にまわってきて、チョコレートをくれた。えっ、という顔をしていると、スイミーの付箋、ありがとうございましたと言う。ああ、メモパッド、と軽く言い直して、ご趣味かどうか分からなかったんですが、と笑った。意識的に笑ったというより、会えた嬉しさで自然に満面の笑みとなった。公衆の面前でお礼を言われるとは、ちょっと思っていなかったから。

プリントを持って、お先に失礼します、と周りの人に告げて職員室を出た。トイレを済ませていると、そうだ、教室で騒がれたことに触れよう。と思った。そういえばトレイの上に置いてあったプリントも何だったか確認したかった。

もう一度職員室に入り、プリントを確認し、宮本先生、と話しかけた。そういえばお渡しした時、子どもが騒いでしまってすいませんでした。と言った。ああ、忘れてましたという言葉が今日一引っかかった。ちょっと寂しい言葉だった。それでも自分の言葉を続けた。人気のない場所を選んだつもりだったんですけど、いつのまにかみんな集まってきてて、結局めっちゃ騒がれました、とそれも笑みを抑えきれず伝えたら、それはなんとなく伝わった気がした。先生はいつの間にか立ちあがってくれていた。後ろに回りながら、お先に失礼しますと伝えて後にした。先生はシャツをしまい直す仕草をした。なんとなく、ウキウキしてくれていたのだったらいい。

 


チョコをもらえた時、わたしは嬉しいことが起こったことにびっくりしたのだった。

先生にプレゼントを渡した時、体が引いたように見えたのは、わたしと同じ、嬉しくて驚いたのだったらいいなと思った。

それまで避けていたように見えたのも、噂の好き避けだったらいい。結局は話しかけてきてくれたのだ。あのプールでの雄々しい宮本くんじゃなくて、内勤モードに戻っていたけど、わたしに何か思うところがあるといいなと思う。