体重49.7

 


今日はいい日になってしまった。

2限目は宮本くんの校内研究授業なので、久しぶりにどの教室にも先生がいない校内を見回りする。わたしには3限があるさ、と思いつつ。

 


3限、いつものようにSくんを構い、Yくんの横につき、Aくんは最近前見てるな、だったのだけど、授業の始めに問題に先生とわたしを登場させてくれて、その黒板を撮っておきたかった。恥ずかしいけど、素直に嬉しかった。隣の教室にも聞こえただろうか。

わたしの苗字を連呼してくれたのだけど、読み間違えられることが多いわたしの苗字、先生はずっと正確に呼んでくれていて、子ども達にも正してもらえてよかった。

3限はとても早く終わって、ゲームとか始まったりして、わたしも参加できるならしたかったけど、子どもをかき分けるわけにいかないと思いとどまり、それにしても、テストだったはずのこの時間、疲れてるだろうに授業してどうしたんだろうと思った。2限目が刺激にはなってるんだろうな。宮本くんなりの反芻というか反省なのだろうか。子ども達を喜ばせてあげようとしていたし、意見をもっと拾わなきゃな、と思ったのかな。

3限の終わりに、お疲れさまと伝えて、クラスで発言力のある子が休みだったことに同調した。先生のクラスの子どもが、先生は次の体育くるの?と聞いてくれたのが嬉しかった。

 


今日も快晴で、昼休み玄関から出ていく先生を見た。トイレから出たわたし、コップだけ洗ってわたしも外に出た。今日は天気がいいのにずっと室内だったから、ずっと出たかったのだ。花壇で咲き終わりのマリーゴールドを2本もらった。

 


5限は空きで、職員室で本を読もうと決めこんでいた。教頭先生の電話で、誰か教室に戻ってきそうだな、宮本くんだといいなと思っていたら、カゴを抱えて宮本くんが職員室に入ってきた。書写の時間教室にいると思うのが嫌だったので、ナイス呼び出しだと思っていたけど、呼ばれて戻ってきたのは違う先生だった。その先生の教室が空いてしまっていて、長引きそうだったので、のぞきに行った。結構時間がかかって、なかなか戻れないことに少しヤキモキしたけどこれは仕方がない。職員室にいたって、微妙な時間が流れるだけだしなんて思いながら、調子の悪い子など眺めていた。

先生が戻ってきたのでさっさと職員室に戻ると、宮本くんは用務員のおじさんにからかわれていたところだった。また居眠りでもしたんだろう。そりゃ今日は疲れたと思うよ。用務員のおじさんに話に入れられて、ねー、眠いですよね、と聞こえないような声で相槌をうつと、宮本くんが席を立って近づいてきて、今日、3時間目ありがとうございましたと言う。今日と言えば2限目の印象が強くて、わたしの支援に入った時間のことを言ってる気がしたけど、ん、2限目の間違いかな、でも2限何もしてない、ていうか見回りしてたことか、いや、って考えてたら遅すぎるリアクションになって思わず、違うこと考えてて、と口から出た。失言だったかな。

自分の研究授業じゃなくて、算数の支援のお礼を言ってくれていた。まぁわたしサイドから言わせてもらえば、お礼言ったり言わなかったりだし、以前のトラウマもちょっと残ってたりして、間空けてお礼を言われると、本当にどの時のお礼かすぐにはわからないのだ。

わたしはどの時も等しく、できる限りで尽くしているので、3限終わりの労いが、思いの外刺さったのかもしれないと思っている。それともわたしのいつかの支援の何かに、今日気づいてくれたのかもしれなかった。

 


養護教諭の先生に職員室で労われてた時も、◯◯先生のおかげでみたいなことを言ってくれたり、いろいろとわたしも今日は染みて、嬉しい日となった。5限目は喜びで悶えてしまった。

放課後の会議では、褒められただろうか。

今日が終わって、ちょっと前の宮本くんに戻ってくれたような感覚があった。

今、あったかい気持ちでいるだろうか。

わたしにメッセージを送りたいような気分にはなっていないだろうか。

 


今日はよく目が合った。5限の終わり、もう一度スーツに着替えた宮本くんは、職員室のドアの前を一回通り過ぎて、わたしはその前でドア越しにふざけている用務員さんをいなしていたら、のぞくように目が合った。その後Kくんが来た時も、教室を横切ったら目が合って、なんだか恥ずかしくて慌てた。