なんだかんだ、夏休みの"離れ"が効いていて、会わない選択肢を選びたいような気持ちもある。

 


今日は割と見かけちゃったな。

わたしがよく職員室に戻ってたのもある。

水筒とか持ち歩いても、結局トイレやらなんやらって職員室に戻ることが多いから、よくガーンって落とすし、職員室に置いておくようになった。

1時間目が終わった時だったかな、戻っていると、階段から降りてきた。久しぶりに、わたしがこれ見よがしに真似しているグレーのトレパンを履いていた。上青、下グレーで、合わせていけたけど、今日は合わせたくなかった。下を黒にしたのはわたしの反発する気持ちだった。

保健室に用事があったようで、遠くで目が合っても、挨拶もなかった。宮本くんはきちんと挨拶するイメージがあるから、これは結構傷つくのだ。そうかそうかと思って職員室にいるも、こちらには来なかった。

 


ある時は職員室の入り口で鉢合わせて、こんにちは〜って言われたのでぎくしゃくした笑顔でこんにちはと言った。動揺しない、動揺しない、これぐらいで動揺しない。

給食前は、理科でなのか、花壇にいるのを見た。

1年生の給食のお手伝いが終わって職員室に戻ると、意外にも宮本くんがいる。ALTの先生と長く話をしていた。何の話かわからなかったけど、授業の話なのだろう。でもわたしの席の後ろなので、すごく食べづらいなと思いつつ、できるだけ気にしないようにして食べた。こんなに長い間教室を空けて、あの女先生にでも頼んできたのだろうか、それとも、わたしが余計なお節介をするべきだったんだろうか。でも今のわたしにはその勇気はなかった。10分ぐらいは後ろで話してただろうか、終わると図書の先生に話しかけ、わたしには一瞥もせず、急ぎ足で職員室を出ていった。

 


5限目の体育は外で、することのなくなったわたしは、校庭で走る宮本くんを少しだけ見た。

その後職員室に入ってくるのを待っていたら、ドアを開けて入ってきた宮本くんが、ドアを閉めながらグッとこちらを見た。わたしも思わず目を合わせた。たまにする、この宮本くんが目に力を入れる感じ。グッと、心まで持っていかれてしまいそう。給湯室に行って、コップで麦茶を飲んだみたいだった。さっと洗ってふせてあった。そんなさっと洗うの、水洗いなんじゃないの、宮本くんの唇が、なんて思ったり、わたしも麦茶が欲しくなって、宮本くんが教室に戻ってから、同じ麦茶を水筒に入れたりした。わざわざ、麦茶を飲みに職員室に。まあ暑いけど。水筒なり、ペットボトルなり、コップに入れて教室に持っていくなり、方法はあるじゃないの。わたしの顔を見にきたのかななんて思っちゃう。ああ、マグボトルあげたいなぁ。なんでもない今、すごくあげたい。でも絶対びっくりする。

ああ、好きになっていってしまうなぁ。