最終日。

 


昨日から急に頭の中をミスチルのヒーローが流れ出して、ミスチル否定派だけど、あの曲は割と好きで、今のわたしにど真ん中ではまり、ずっとその曲で今日の終わりまで過ごした。ちょっとは格好よく終われただろうか、と思っていたけど、家に帰ってからメッセージカードを開いて、先生から"僕にとってもヒーローだ"という言葉が載っていて、本当に驚いた。先生にとってだけでもヒーローでいれたら、と思っていたら、先生が思ってくれていた。通じている気がして一番嬉しい言葉だと思った。先生のクラスに入ってた時のわたしは全然格好よくなかったと思うんだけど、わたしの姿のどこかにそんな思いを抱いていてくれたのだ。

 


お別れの形態が微妙で、挨拶も最後で、先の先生たちはことごとく泣きだすし、女の人はしゃくりあげて泣かないといけないのかみたいな風潮で、まあわたしは昨日一昨日とフライングで泣いてるから、声が詰まる時はあったけど、今日は最後まできちんと言わなきゃという思いがあって、おお、まる先生が意外と泣かないぜみたいな感じにはなったのではないか。職員室に戻って拍手で迎えられて、先生も笑顔を向けてくれたような気がする。

わたしがファンタを秒で選んだ時も、わたし的にはファンタを選ぶまる先生かわいいぜみたいな演出だったんだけど、先生が少し顔を赤くしていたから、おやと思って、そういえばこの形態、あげた鉛筆削りのペットボトルとタイプが似ているから、まる先生やっぱりこの形好きなんだなと思ったか、鉛筆削りのボトルにしたいのかなとか、ファンタなんだと思ったか、先生が選んだりしたのか、わからないけどたぶん赤面していた。

 


帰り、もう2人きりにはなれなくて、それでも最後の瞬間の挨拶はちゃんとしたいと、挨拶しにいったら先生は立ち上がって、引き継ぎの先生がわざわざ、というのには気にとめないで、先生は出てきたりしてはくれなかったけど、そのかわりまた顔が赤くなった。あんなに赤くなっては、引き継ぎの先生に突っ込まれなかっただろうか。少なくとも気持ちを疑われたのではないだろうか。

 


ご飯の時、一向に話せる雰囲気にならず、思い切って夢の話を人前でしてみた。

宮本先生、と声をかけて、あの、3月の頭くらいに、夢で、あ、夢の話なんですけど、と校舎が変わるのを知らないのに校舎が変わってて先生が残留なのを見ていた、という話をした。Zさんが先生のクラスじゃないこととか、4月になって教頭先生に言われてわたしは支援に向かった、というようなことを伝えると、先生は、夢の中まで気にしてもらってありがとうございますだとか言った。すっごいはっきり見た。だから先生が来年もいるのかな〜と思ってたけど、主任の先生もわたしもいなくなって…という話に、他のテーブルの先生も聞いてくれていて、場をなごませた気がする。

隣にきてくれた先生を癒される、と表現して場を納得させようとしていた先生たちに対して、芯が強いと褒めたらすごく喜んでくれた。それを宮本くんは見て見ぬふりをしていたようだった。またZさんが午前中にきたと先生が教えてくれた時、会いたかった、Zさん大好きです、誕生日1日違いなんです、Sちゃんと10月生まれーズで、と伝えたら、でもZも結構難しいところある、と否定してきた先生、あれはやきもちだったのかな?そういえば無意識に大好きをつかってしまったな。大好きの無駄遣いをしてしまった。あれは悪かったかな、でも本当の気持ちだったから。

 


着替えて戻ってきた先生は、あのシャツを着ていた。ずっと見たかった姿。わたしは今日の衣装もお揃いなことに喜びを感じた。見せたくて見せた。先生は着替えたことをつっこんでくれた。わたしは寄るところがあるからと、言い訳したけどお揃いなのを見せたくて仕方なかったのだ。少しぐらい可愛いと思ってくれてなかっただろうか。