ラインを開くたび、最近は心配になる。

友達が1人減っているんじゃないか。

宮本くんが、わたしとの友達を辞めているんじゃないかって。

あんまりそんな気がするから、今に本当になるかもしれないと思っている。

ひとつも言葉を交わさないまま、連絡手段が絶たれてしまうことに怯えている。

 


もう、宮本くんは近くに寄ってきてくれないのかな。違う先生のところに行ってしまうんだろうか。どれも嬉しかった。

 


木曜、赤いポロシャツを着ていた宮本くん。

帰りに近くのドラッグストアに寄る口実を見つけて、遠くには見かけたもののタイミングを合わせることができず、すれ違ってしまった。会えていたら送れたのかな。自然に動いていたら、運命の糸はちゃんと繋がっていただろうか。

 


いきなり切れたり繋がったり。それにしても宮本くんは、同じことしないと思う。時世もあるだろうけど、わたしがこのペースでと乗ったものは、続けてはくれない印象がある。それはマンネリを避けるような嗜好のものだろうか、単に避けてるのだろうか。

あの時合わせてくれた歩幅のペースも、今度一緒に歩くことがあっても、もう、追いていかれたりするのだろうか。

 


今日から償いの日々、と気合いを入れても、空回りしたり思うように優しくできなかったり、難しい。自分は煩悩のみで構成されており、人の為に1%も削ってやれないけちな人間だ。

自分に悩みはないといつも言い聞かせているけど、どれが悩みなのか、最近は分からない。

 


ラインの口実をずっと探している。

このままじゃ見つかったら本当に送ってしまう。

 


本、嬉しかったな。

お父さんにもあの本を見せたんだ、きっと。

本屋では棚を探したって。可愛いな。

その次の日でこれだから。

 


木曜のお昼は時間になっても全然動かずわたしを一瞥もせず、でも他の人の探りによるとクラスの子たちの誕生日の掲示を作っていたみたいだ。暇そうなのにあの日少しも顔を見せてくれなかったのがショックだったんだけど、クラスの準備をしているのは、わたしの本を読んだ影響かと思って嬉しかった。こんな風にクラスを経営しようと、少しでもアイデアの刺激になったのだったら。

 


最近、心がちょっと元気ないような気がしていて、お家疲れなのかなと思っているけど、きっと宮本くんと少しでも言葉を交わせば治るのだ。そして、交わさない日が続けば、薬が切れてしまったように、今度は苦しみがやってくる。この苦しみはわたしだけのもので、宮本くんは少しも感じていないのだ。ちゃんとそう思わないと、辛いばかりに、迷惑だと思われることをしたくない。

 


先輩のことが嫌いになった。

宮本くんのおかげだ。

でも木曜みたいな日は、宮本くんのことも嫌いになる。それもすぐ、あっという間に。嫌いの裏返しは好きだとか、その逆もいうけど、それは男の人もそうなのだろうか。確かに感じたわたしへの好意は、何かをきっかけにひっくり返って嫌いになられてしまったのだろうか。