学校開放最後の日。

僅かな開放感もあり、新しい学校生活が始まる準備のバタバタ感もあり、もう次のことに頭がいっている雰囲気の学校。宮本くんも例外でなく。

学年には今日は先生方もたくさんいたし、午後は自分の学級の準備に没頭しているようだった。全然顔も見せないで、丸つけや掃除をしていた。午前中は、まだウロウロしていて、図書館から視線を感じる余裕もあったんだけどな。今日は宮本くんを意識して買った似た色のジョガーパンツを着ていったら、被ったので内心喜んでいたんだけどな。

ちょっと遅くなった帰り際、先生がいつも一緒に待っていた子のお迎えがあって、下心もあり職員室に戻って図書館に内線を入れた。電話に出るかと楽しみにしていたけど、いないのであれっ、と思って、図書館に直接向かうと子どもが1人で待っていた。玄関まで行くよう伝え、帰ろうと思ったけど、先生がいたら報告して帰ろうと2階に上がった。

手前に主任の先生がいたけど、伝える気にならなかったので、廊下の向こうに見えた宮本くんのところに向かった。先生、と声をかけて、今お迎えが来ましたと告げたら、なんだか面倒くさそうな雰囲気を感じたので、1人で待ってたみたいで、とつけ加えたら、しまったという顔をして、すいません、午後全部甘えちゃって、と言った。こいつ、甘えちゃうという言葉を使えば解決すると思ってる、ぐらいは思ったけど、わたしも緊張していて、今玄関行きましたから、と認識が直ったところで言い直した。じゃあお先失礼します、と切り上げて、ありがとうございますという宮本くんを後ろに、さようならと言った。

 


今日は女性に囲まれていて、しかも全員好意を持っているようにわたしには見えていて、たくさん群がっておきながら子どもの大事に気づかないなんて、けしからん女どもだなんて思いながら、わたしは気づけたアピールを本人にしている。

文字通り、甘えてるのかもしれない。けれど、わたしってその程度の存在なんだなと、落ち込むような、拗ねるような、がっかりして、気持ちがちょっと沈んでいる。

 


もしも今日のことでお礼のラインが来たら。

と妄想で遊んでみる。

今日は来なくても、いつか来るかもしれない。

もったいないからすぐ返せないけど、あんまり伸ばすとこちらも伸ばされるので、と思って、きっと返信を焦る。ちょっとだけ色気も出したいと思うだろう。

わざわざLINEありがとうございます。

間に合ってよかったです(かわいい絵文字)

 


で一回送って、その後責める文句を考えて眠ろう。