今日も全然見かけない。

向こうの階段の隙間から見えた赤いシャツだけが今日の記憶になるかと思ったら、ちょっと笑えるような気持ちにもなった。でもすぐに、タイミングもとことん合わない昨日今日に、深く落ち込んだりした。

 


掃除後、トイレから出ると、車から物を取って戻ってきている宮本くんを見た。それまでずっと避けたいような、追われたいようなぐらぐらした気持ちでいて、不意に姿を見たら心臓がドッキリした。その後職員室に入ってくるものだと思ってたら、全然通らなくて、でもドアから見たらもう遥か先を歩いていた。わたしを避けたのか。でもなんだか変なコースであるとも思った。

5限が終わり、1年生の教室へ向かおうとすると、向こうからやってきた。でも、子どもを保健室に連れていて、通り過ぎる前に保健室に寄っていて顔を合わせることはなかった。

帰りの玄関で、閉めようと最後まで残っていたら、それまでだいぶシカトされたような気がしていたけど、ありがとうございますとだけ言われた。閉めるのを待っててくれて、みたいな感じだと思うけど、なんだか言われなくてもよかったような気がして、気持ちも塞ぎ込んでいて、ぼんやり、ああと言ってぺこりとした。そこをすぐ去り、後ろですれ違った女の先生と話すような声が聞こえたような気がしたけど、聞かなかった。

会えたらにこやかにしようかとかあれこれ考えていたのに、結局出たのは素っ気ない態度だった。顔はこわばって、笑顔になれない、頑なな、虚ろな表情。それがわたしの素だった。

職員室に戻ったら、隣の先生が話しかけてくれたので、なんだかほっとしてふんわり話していた。図工の時間の子どものおかしかったエピソードを言えて嬉しがっていたら、カッターシャツに着替えた宮本くんが職員室に入ってきたけど、あまり意識しないようにした。妬きもち妬くなら妬いてほしかった。ちらと反応を見てはいたけど、はっきりしたものは何もなかった。職員室を出ていく時、ドアの前に貼ってあるお知らせを見にちょっと戻っていた。

 


わたしのたくましい想像力。

どんな些細な出来事も、脈ありに変換できる。

そもそも、この素っ気なさは、宮本くん的に大丈夫だろうか。急になんか感じ悪いなみたいにはなってないだろうか。そもそも何も期待されていないおばさんだった。これでいいんだ。今までがおかしかったんだ。これがわたしに対する普通の反応だ。同年代で仲よくしたらいいさ。わたしもそうするから。

 


つまらない毎日。また楽しくなっていったらいいな。邪魔なものはどんどんいなくなってしまえばいい。