今日は全校朝礼があって、珍しく参加できたわたしは、体育館から響く宮本くんのマイクを通した声に、表彰で呼んでるんだと急いで向かったのだった。今日は少し声が高いような気がした。しばらく続いた眼鏡も、今日はコンタクトだった。

 


一番後ろから見ていたら、そのうち暗幕をしめる為に、ハシゴを登りに下がってきた。降りてきたらそのまま、ハシゴの近くに待機したから、わたしから近い形になった。

これ、終わる時詰んでるよなぁ、と思いつつ、暗幕しめるの代わろうと決めていて、果たして終わりになって、わたし閉めますよと言ったら、スムーズに代わってもらえた。

職員室に戻ってから、先生、ありがとうございましたと名指しでお礼してくれた。大したことしてないです、なんて言ってしまった。照れてたのかな。でもなんか、お礼言われたくてしてるみたいなのが嫌だった、のかな。職員室に慌てて置いた荷物を整頓してたら、まだ職員室にいたの知らなくて、ほんとに気にしてないみたいになった。

今日は木曜だけど、それがあったので支援に入れた日のような気持ちになった。

元祖暴れる子が掃除の時見当たらなくて、もっとよく探せばいいのに、わたしの悪い癖、よく探しもしないであちこち移動して人を巻き込む。

勢いで宮本くんに見てないか聞いたら、(珍しく)探しましょうか、と言ってくれてしまって、しかも断ってしまって、だって宮本くん基本人に頼まれるの好きじゃないと思ってるから、戻ったらいるかもしれないから、その場は断って正解だったと思うのだけど、朝の暗幕のお礼のつもりだったのかもしれない。恩はすぐ返すタイプ。日を置くと完全に忘れる。なんちゃって。

気になって、タイミングに恵まれたので、ずっと置きたかったチョコレートを置いてしまった。少しでも冷えてたかな。無理があると言えば無理がある、見つかりました、と書いた付箋を貼って机に置いた。

 


このスリルが癖になっているのかもしれない。

あんまりいいことじゃないという感覚がある。

でもやめられない。ほのかに好意を伝えることが、スリリングで、刹那的で、ロマンチックだ。

 


メッセージはこないと思っていたけど、こないとちょっと寂しい。

明日お礼なかったらどうしようとか不安に思っている。

だけどどうだっていい。大事なことはいつもシンプルで、あげたかった、それに尽きるのだ。