欲というものが今日は引っこんだような日で、僅かな悦びで自分を楚々として満たし、見たくないものには蓋をし、朴訥として過ごしていた。

 


朝一でご褒美をもらったからかもしれない。

1限の体育がどうやらなくなって、職員室に戻り、1限空きの先生も来ないし、今週ずっとしたかった読書をしよう、と決めこむと、ほどなく先生が来た。

目が合うとこちらに来てくれて、昨日のお礼を言ってくれた。こちらこそとひとしきり頭を下げあったところで、ローカル番組の話題を出した。こちらの組にテレビ局がついていて、その撮れ高が心配だ、という話をわたしはひとしきりしゃべってしまって、先生があちらの組にもテレビは入っていたことを教えてくれた。

先生がケーブルテレビに加入していると知って、あんまり見たことないんですけどね。と2回も言うのでその興味のなさに笑ってしまった。

先生がちらとわたしの机の上に開きっぱなしになっていた本に目をやった。脳のイラストが6個ほど載ったページだった。興味はないだろうか、聞かれたことはない。

お開きになって、そうだ週案のこと聞いちゃおうと、紙を持っていって声をかけると、わざわざ横にまわって見にきてくれた。

話をしているとSくんの支援の話になり、その途中でわたしの後ろにまわっちゃうので、あれ、話終わりかなと思ったら、わたしの席の横のストーブの方に誘導されたようだ。そういうの上手で、いつも本当に気づかないうちになのだけど、たぶん事務員さんに聞こえない位置まで移動したのだな。今はこのような支援計画、みたいな話を教えてくれて、わたしも納得いったので、それこそお開きになった。引き伸ばすのは好かないからね。

自意識の高いわたしが、いつの間にか誘導されるなんて、すごい高度な技なのではと思っている。

さて読書に取り組もうと、指でたどって読んでいると、それもちらと見てくれたように思う。わたしの勉強意欲に火をつけてくれるのさ。わたしが話すばっかり考えてないとしたかったし。

それにしても事務員さんがいると、何かの対抗意識を出してくれてとてもよい。見せつけ、みたいなものだったのだろうか?と思っている。とてもよい。

 


3限目は、子どもたちも学年最終にのっていて、意欲の高まりを見た。Sくんが長文を書いていた。先生の努力の結晶を見たと思った。授業終わり、先生に伝えに行こうとするとSくんもすぐ寄ってきて、手放しで褒めた。Sくんの一歩は嬉しかった。先生がSくんを持ちあげて、バンザイと言った。

それにしても授業中、気の抜けた先生が、あくびして尻かいた。わたしも見てると思わなかったのかな。寂しいような、でもわたしはそういうの嬉しかったりするのだ。

職員室での笑いといい、今日は気の置けない感じなわたしだったのが嬉しい。