昨日はついまたAB型男子についてのサイトを読み漁ってしまって、明日から仕事なのに夜更かし、心理学の本も1ページも読まず、軽い罪悪感を感じながら寝た。

 


月曜だけど5限がある。

その思いで午前中を過ごしていた。

だから今日のわたしは顔を見なくても大丈夫。

あれはいつだったか、階段からラインの美しい黒いパンツと珍しいセーターが見えて、直視してはいけないと慌ててぎくしゃく職員室に向かって、戸を閉めるあたりであ、先生とかやろうと思っていたら、ドアに着く前に先生と声をかけてくれた。

飲み会とかでたぶん着ていた焦げ茶のタートル、あの時はそんなによく見えなかった気がしたけど、学校で見るとかわいかった。あの鉛筆削りを使い始めてくれたらしい。こんな風にお礼を言ってもらえるとは思ってなかったので、しばらくドキドキして自分の机でガタガタと悶えていた。昨日熟読したサイトによると、2人の時にしか話しかけてこないんじゃなかったの、皆がいる前でお礼は想定外だ、って。

 


こんなんで5限を迎えるのか、と、始まる前もドキドキしていた。

 


先生が怪我をして、そのことは書く気にならなかった。だけど記憶って時間とともに本当に都合よく変わっていくので、正確に覚えておきたいことや自分の気持ちを書いておきたかった。

 


この胸の痛みの正体はなんだろう。

ウキウキしていた矢先だったからだろうか。

わたしが鏡の前で服の汚れを気にして拭いていた時、先生は怪我をした。あの時もしパワーアップに行っていたら怪我はしていなかっただろうか。保健室に向かう後ろ姿を見たのだ。ゆっくり向こうに歩いて行くから、印刷か何かしてたのか、もしかして鏡チェックしてたの見られてたかななんて思ったりして、そんなどころじゃなかったのに、あんな時もマイペースなんだな先生は。

今日の服装はいつもと随分違っていたし、なんていうかわたしのセーターっぽかったり、また珍しい黒いジャンパー、ノースフェイスの、それもなんかわたしっぽかったのとか、わたしが鉛筆削りなんて刃物をあげたから、刃物を寄せてしまったのかとか、もしかして何か心をとらわれる事があって、集中力を欠かせてしまったのはわたしのせいかなど、わたしに原因がある気がしてしまって、胸が痛い。先生のバイオリズムを何か乱してしまったかな、とか。それでわたしのことをもう避けるだろうか、とか。

先生の長い指が、形が変わってしまうことがあったらどうしよう、と、心配した。ネットで見たところ大丈夫そうだし、すぐに病院に行ったからそれも大丈夫だろうか。明日顔を見たら、手を包みこんでしまいたい。先生の指をいたわりたい。わたしが代わりたい。わたしも左手の親指の爪を剥いでしまいたい。

保健室をのぞいた時、子どもが誰かいるのか、あ、先生といるのか、あれ、先生だけだ、指から血が出てる、保健の先生がどこかに電話している、先生は俯いて弱っている。まさか誰かに刺された⁉︎と思っているうち体が入り口まで接近していて、先生と目が合った、と思う。先生は、びっくりしきっているわたしを確か見て、また視線を戻し俯き、それは痛みや、自分が情けないと思っているような印象を受けた。もう少しでどうしたんですか、と聞くところだったけど、先生も口もきかなかった。わたしは自分が教室に行くべきだと思って、教頭先生に告げた。それがたぶんわたしが一番正しかった行動だったと思っている。

わたしは教室に行くまで完全にSくん先生刺したと思ってたから、教室に入ってもみんな素知らぬ顔で、Sくんも大変穏やかであり、刺したのではないと理解するまでしばらくかかった。どうやら刺したのではなさそう、じゃあどうしたんだろうと思っているうち、教頭先生から聞いて知った。

本当はわたしが側につきたかった。先生のためにいろいろ動きたかった。でもわたしには技術も立場もない、子どもたちを守ることしかできなかった。たぶんそれは一番だ。だけど、先生の側にずっとついて、いたわりたかった。

メッセージも、返さなくていいと断って送って、返ってこなかった。それでいいのだ、わたしが無理させてると思ったら悪いと思うのかもしれない。退勤してすぐ送ったラインは、17時頃開封されたみたいだ。すぐ帰ったかな。ちゃんとケアできてるかな。心配だー、なんでもしてあげたい。

わたしのこと嫌いになったかな。どうか変わらない気持ちでいて欲しい。