今日もだめだ。

先生のクラスから体育館に向かう廊下に貼ってある『ひとつのことば』という詩。北原白秋の詩らしい。何日か前、今月の詩であるこの詩を読んで、あぁ、先生とケンカっぽいこともしたなぁとしみじみしていた。

 


この詩が刺さって泣くことになるとは。

ひとつのことばはそれぞれに

ひとつのこころを持っている

というフレーズがささった。

先生がわたしを傷つけた言葉は、先生が意図してわたしに与えようとしたダメージなんだと思った。

 


これはまたケンカなのだろうか。

今日も手洗い場で話しかけても無視されて、わたしの前で保健室の先生を頼る素振りをした。

別にいいやなんて思いながら、教室に向かってみんなが塗ったチョウを眺めていた。

そのうち挨拶になって、わたしの今日のメガネ姿にみんな興味を示してくれたけど、なんだか子どもが変な言い合いみたいなのをして、それを先生は大げさに悲しい顔をして止めた。

その後だったか、少し先生が変わった表情をした。元気がないような、申し訳ないような表情だとわたしは取ってしまった。そう思いたかったのかもしれない。わたしに悪いと思っていると、思いたかったんだと思う。

 


お互い至って普通を心がけてる、といった感じだった。

でもわたしが言うこと成すことに、いちいち反対して追い回されていたような気がする。

先生は完全に避けてはいない。けどなんだか、よく見えるように壁を見せられてる感じがする。

 


先生は今日見慣れない新しめのポロシャツを着ていた。ちっちゃくGOの文字が見えたので、これもGOシリーズなのかと思った。

 


いったいどっちが怒ってるんだろう?

先生が怒ってるんだろうけど。

わたしは先生が感じ悪いの治らないから、元気になれないわけで。

わたしが怒ってると思ってるだろうか?

じゃなくて申し訳ないことしたと思って元気がないと思ってくれてるだろうか。

 


今日も明日も早退、金曜日も。

明日は病院行けないから、何しよう。

 


夜、ふとSちゃんの強気の発言を思い出した。

先生に向かってだいぶえらそうなことを。

でも普段だったら、そういえばそんな発言も随分長い間できなかったと思った。

先生はもしかしたら、わたしのSちゃんに保健室に行かないでほしいという想いを汲んで、行かないように努力はしてくれていたのかなと思った。Kくんにもなんだかがんばっているように見えた。先生のクラス作り、まだまだできていないと、こないだの公開授業で思ったのかもしれない。わたしのせいにした気持ちを、反省してるのかもしれない。あのO先生が授業の様子見にきたもんな。

わたしに頼らないようにしてる無視なのかな。

でもKくんは放置気味だけどな。

 


給食の時の本意は。

いつも、先生が感じ悪かったなと思うと、給食の時にやってくるのだ。

果たして今日も来たけど、カップを取りに行ってたらそれと話してしまってて、わたしは席で牛乳を掴んでレンジの方に逃げこんだ。電話をかけたらしい先生は、事務員さんに伝言を告げていた。わたしは給湯室から出て、先生の後ろを通り過ぎ、席でエプロンを外そうとしていた。先生は名簿を棚に戻し、出ていった。声はかけられなかった。給食を食べて帰った。

 


結局ずっと、保健室の方が大事だということを見せられてるみたいだ。

 


嫌なことがあると、熱心に日記をつけるんだな。

誰にも言えない文句を。