今日も紺のジャージは履いてこない宮本くん。

 


そして2時間生活の今日も、月曜日と同じような雰囲気。クラスに入っても無反応。授業中目を合わせない先生。出て行くしかない休み時間。といった攻撃は受けていたものの、授業中はいつものようにわたしが近づいたグループに近よってくるし、いいとこ見せようとしてるのかと思う時があったり、子どもたちの反応に笑いかけてきたり、するので、それを受け入れていただけなんだけど、2時間後も結局そんな感じで終わって、ただ今日子どもたちのケンカが多いなーと思っていた。

給食もこない。ので体育館、また職員室、と行ったり来たりして、やっぱり先生に直で話しかけに行こうと、クラスに向かった。先生は給食の後片づけが急に忙しそうになって、話をするのははばかられた。しかしタイミングは今だと、嫌われるの覚悟で思いきって言った。緊張と引け目と、嫌われるという感情とを持って、お困りじゃないですか、と言うと、忙しいんだけどなというニュアンスを含ませながら、困ってます、というので、支援、また入り方教えてくださいと、伝わるか伝わらないかわからない言い方をしたら、わかりましたと言われた。

そりゃそうだよ。と思いながら、特に凹みもせず職員室に戻って、本を読んでいた。これは言葉の意味よりも、ごめんなさいの意味を含んでいた。違う言葉をしゃべりながら、宮本くんを受けとめきれなかったことを謝っていたのだ。

しばらくしたら宮本くんが職員室に入ってきた。

わたしはまぁ目は合わせられないものの、内心喜んでいた。わたしの後ろの机に用があったらしい先生は、後ろに回って、また横を通り過ぎて出ていった。きっとご機嫌伺いじゃないかと思っていた。

 


内科検診はまあ普通に終わって、結構疲れたのでお湯をたくさん飲んで、下校も顔を合わせられなくて、まあまあ、こんなもんさと退勤まであと2分になったら、先生が職員室に入ってきて、下校指導行ってきますとさっさと出ていこうとする。その時にY先生に、わざわざ今日ありがとうございましたと戻って声をかけて出ていくから、その流れでわたしもかと思ったらスルーされた。まあ、そんなもんだと思いながら、わたしも時間になったので、僅かな期待を胸に玄関に向かった。

先生、いっちゃったかなあと思いながら靴を履いて玄関を出ると、一度車に行った先生が戻ってきた。わたしは嬉しくて、気持ち的には駆けよっていた。今日、ありがとうございましたとはにかむ先生を、それで過ぎたくなくて、先生、嶺南の思い出作りですか、というと、そうですねと応えてくれた。こないだの写真、出だし聞き取れなくて、というと、渓流の里だと教えてくれた。納得して、素敵な写真だと伝えた。心からの笑顔で言ったつもり。照れか気まずさか、時間がもったいなかったか、軽く笑って、下校指導行ってきますと玄関へ走り去る宮本くん。それ、わたしに言ってく。行ってきますは女の人に言っちゃだめよ〜と思いながら、ありがとうございますだか何だか伝えた。

天邪鬼どおしの仲直りはできたのか。

わたしが車を出すより速く、先生は先に出て行った。途中、道路で少しだけ一緒になる。越していく時、思わず投げキッスしそうになった。

 


やっとのところで、仲直りできたのに、また天邪鬼で、事務員さんのズボンの裾を縫っていいのだろうか。目撃されたい欲と、されたくない欲。こっそり直すのが吉だとは思う。でも、ほんのちょっと、気づいてほしいんだな。